語彙
語彙と言うと直ぐに思い浮ぶのが単語帳ではないかと思いますが、自分で作成したものや
市販のものを含めて、効果的な活用法を検討してみました。
単語帳が威力を発揮するのは、主に受験勉強の時や、少し高度なジャンルに挑戦しようとし
ている時等です。
多読に挑戦中の時には、寧ろ辞書すら殆ど引かずに、スピードを最優先にしてどんどん先に
読み進んで行った方が良いでしょうし、それ以外の時であっても多くの場合、辞書を引くことは
あっても、その都度単語帳を作ることは、時間対効果という点からは余り得策ではありません。
それでは思考が中断されてしまって非効率的です。
その場合でも単語帳を作る必要がある場合には、ある程度まとまった、区切りの良いところ
まで読み終わってから、作成した方が能率も良く、効果的です。
それでは、1、<受験英語における単語帳活用法等>と
2、<英会話等の実用面における語彙>とに分けて触れて見ましょう。
受験英語における単語帳活用法等
(1)自分で作るのがベスト
問題集、特に過去問を解いている時に出て来た単語(熟語を含む、以下同じ)を拾って、自分
で単語帳を作るのが最も理想的だと思います。
尤も、一流大学合格者とか英検1級合格者の中にも、市販の単語帳だけで成果をあげて成
功した人もいることはいます。そういう人は、恐らく元々暗記が得意だったり、大量の語句を要
領良く覚えたりするのがうまかったり等、普通の人には中々真似し難い優れた面を持っている
のでしょう。
しかし、誰でもがその通りにやってうまく行くという保証はありません。市販の単語帳のみに
よる方法の場合、多くの人はむしろ、全体の何分の一(何十分の一という人も身近に何人も知
っています(笑))しか進まない内に挫折してしまうといったケースが圧倒的に多い様に見受け
られます。
自分で単語帳を作るメリットとして、次の様な点が挙げられるでしょう。
①英文の中での使われ方、文章全体の流れ、情景と共に頭の中にインプットされる為、記
憶に定着され易く、再生も容易であること。
②過去の出題を集めた問題集を、有る程度大量に集中的に攻略することにより、出題頻度
の高い単語を無意識のうちに(謂わば自動的に)拾うことができ、過去問を大量に解きながら
単語帳を作成していけば、解いた分量にほぼ比例して、合格に必要な語彙が知らず知らずの
内に増加しているという結果が得られること。
* 特別な難意語については問題の脚注に示されていることが多く、それらは無理に覚えな
くても余り心配なく、余裕があれば確認程度に頭のどこかに留めて置く程度で構わないでしょ
う。
(嘗て、その分厚さから“電話帳”と言う愛称で親しまれていた市販の単語帳に真正面から
取り組んでいる人を知っていますが、一般的な英語力という点からは、それ相当の効果はあ
るかも知れませんが、殊、受験に関する限りでは、莫大な時間と労力の割には、それに見合
った成果は得られていなかった様に見受けられます。
その単語帳は、「統計的データに基づいて単語を抽出している」と謳っているものの、“統計”
と言っても、直接には受験に関係しない、アメリカの雑誌とか専門書などを含む様な幅広い分
野から選び出していて、受験にはまず関係ない様な単語も多く収録されている点が気になり
ます。大学生や社会人になってから使用する分には大いに結構なのですが、殊、大学入試に
関して言うと、問題ありと言わざるを得ません。)
③文章の中での使われ方が自然と身に付いて来る為(但し、それ相当の分量の問題文を読
み込んでいることが条件ですが)、英作文その他の分野にも応用が利き易くなること。
尚、単語帳を作る際のノートは、よく見掛ける小型のものよりも、B5版位の大きさの大学ノー
トをお勧めします。多義語などをいくつも並べて書いておくのに都合が良く、又、例文などが書
き易く、使い勝手が良いからです。又、余白に後から関連項目などを書き足して行くのも容易
です。
小型の単語帳も、利用の仕方次第では大いに役立ちます。どうしても覚えにくいもの等をピ
ックアップして記入し、持ち歩いて隙間時間に見ておくという様な方法で活用して行けば良いの
ではないかと思います。
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(2)市販の単語帳について
①市販の単語帳の是非、受験者のスタンス
自分で作成した単語帳を中心に用い、補助的に市販の単語帳も活用するというのがベスト
だと思います。市販の単語帳も使い方を誤ると、時間と労力のロスにもなりかねないので注意
が必要です。
よく多大な時間と労力を費やして、市販の単語帳を1頁目から、しらみ潰しに丸暗記しよう
としている人を見掛けることがあります。よく見ると、「こんな大変な勉強をしているんだ、これ
で実力が伸びなきゃおかしい。」とばかりにガムシャラに、時にストイックにさえ見えたりします
(笑)が、夢中で取り組んでいる御様子。
その心意気は立派ですが、彼らは、勿論本人は真剣そのものでしょうが、往々にして、必死
に頑張っている自分自身の姿に自己満足して、自己陶酔の境地に浸っているだけというケー
スも多いのではないかと同情してしまうことも度々あります。
効果と言う点から判断するなら、1で述べました通り、自家製の単語帳の利点をいくら強調し
ても、強調し過ぎることはないと思いますが、自家製の単語帳にも欠点がない訳ではありませ
ん。
時間の余裕があって大量の英文に取り組むことが出来るなら、余り問題はないのですが、
現実には他の科目とのバランスも考えなければならず、英語だけにそうそう時間を費やせない
というのが実情という人が多いのではないかと思われます。
出会った英文の量が余り多くないと、当然ながら、そこから拾った単語・熟語の分量も限ら
れて来ます。そうすると、どうしても網羅性という点で限界が生じてしまいます。そこで市販の
単語帳の出番と言うことになるのですが、あくまでも自家製のものをメインとして、市販のもの
を補助的に使用するというスタンスを維持していくべきだと思います。
つまり、自家製の単語帳だけでは合格に必要な全領域を網羅し切れてないと思われる場
合に、自家製のものの取りこぼしを発見し、これを補う目的で市販のものを活用するという方
法が最善であると思います。
②市販の単語帳の選択基準
(a)難易度
但し、1ページの中に知らない単語がやたら多く出ているものを、初めから順番に丸暗記し
ていくというのは、余り効果的な方法とは思えません。これでは、効率が悪く、苦痛でしかなく、
挫折しやすい典型的なパターンに陥ってしまうケースが多い様です。
あくまでも自家製の単語帳の取りこぼしを補うことが主目的ですから、自分の現在のレベル
に合致したものを選ぶ必要があります。おおよその目安として1ページの内、5~6割かそれ以
上が既知の単語で占めている位のものを選び、それを何度も回転させた方が効率的だと思い
ます。
この点は、その人の現在のレベル、集中力を持続できるかどうか、等の個人の能力、性格
等によっても異なって来ると思います。例えば、飽きやすく、挫折しやすい等という人なら、最
初は、7~8割が既知の語句で占めている様な、比較的易しいと感じられるものを選んだ方が、
挫折せずに成果を上げ易いことでしょう。
こういうタイプの人の場合、達成感を味わいながら、スピードを出してとにかく一度は終わりま
でやってしまい、二度目からは更に回転を速くするようにした方が、効率が良いと思います。こ
のことは、モチベーション理論から言っても裏付け得ると考えています。
その単語帳を何回転もさせて、ほぼ完璧にマスター出来たと思ったら、必要に応じて、それ
より少しレベルの高いものへと移行して行く様にすれば、挫折する可能性も小さく、効率も大変
良いと思います。
(b)内容
次に、単語帳の中身ですが、単語の意味だけでなく、例文が載っているものが妥当だと思
います。既知の単語でも、それが多義語だったりした場合、自分が普段使っているのと全然
違う意味や用法があったりすることもあると思いますが、しっかりと例文の載っている単語帳を
選べば、その使い方も分かるし又、英作文などにも応用が利きます。
近年、大学入試等でもリスニング能力が試される様になって来ており、この傾向は今後益々
増大していくものと予想されます。従ってリスニング対策の点からも、又、初めから正しい発音
やアクセント等を身に付けて行く為にも、CD等の付いているものがお勧めです。
英会話等の実用面における語彙
日本人に典型的に多く見られるパターンとして、(ペーパー上の)読み書き(少なくとも読むこ
とだけ)は得意であっても、英会話は苦手という人が多く見られるという点がよく指摘されてい
ます。
実際、英語圏国に留学中の非英語圏国の人々の中で、日本人には、その様な傾向がよく散
見されると言われています。即ち、日本人以外の非英語圏国の人々は、読み書きがまだ十分
なれていない段階でも、日本人より遥かに流暢な英語で、友達との会話等を上手にこなせる
様になっているというのです。
その理由として、色々な点を指摘出来ると思いますが、ここでは、語彙という点に絞って考え
てみますと、次の様な点を指摘出来ると思います。従って、その辺にも英会話上達の為のヒン
トが隠されていると思います。
(1)使用する用語のカテゴリーのギャップ
日本人の語彙力を他国の人のそれと比較してみますと、よく知っている、或いは得意とする
単語の範疇に差異が見出せると感じられます。
例えば、英単語のレベルで言うと、comprehension(理解、包含)とかtemptation(誘惑)といっ
た抽象的な語は受験英語で頻出なせいか、ある程度英語に自信がある人ならよく知っている
にもかかわらず、astringent(渋い)とかsaliva(よだれ)といった、日常の会話によく使われる語
については殆んど知らないといった現象が生じてしまっているのです。
ネイティブスピーカーには、日本人は一見難しそうで抽象的な語句をよく知っているのに、普
段自分達が日常的に使っている簡単な語句や表現を知らない人が多いということが、とても意
外なことの様に見えるそうです。
しかし、この様な日常会話に頻出の語句を集中的に攻略することで、そのギャップは容易に
埋められるものです。むしろ、日常会話で使われる語句の方が具体性があって面白く、比較
的楽に覚えられるものです。
従って、例えば、英会話が得意だけれど難解な論説文が苦手なAさんが受験英語に頻出の
抽象的な語句を1,000個覚えるよりも、英会話は苦手だけれど論説文の方は楽に読めるとい
うBさんが日常英会話によく使われる語句を1,000個覚えるほうが、はるかに簡単に、しかも
短時間で目標を達成できることになるでしょう。
その意味からも、これまで英語が余り得意でなかった人も(そういう人であっても、日本人は
程度の差こそあれ、受験勉強の過程で習得した抽象的な語彙は、知らない間に思った以上に
蓄積しているものですから、)英会話に必要とされる様な語彙に的を絞って集中的に勉強する
なら、受験時代の秀才達が(このことに気が付かずに)英会話のミステリアスな壁の前で立ち
竦んでいる間に、一気に逆転を図ることも可能な訳です。
(2)リーディング、スピーキングと単語力との関係
英会話は、リスニングとスピーキングからなりますが、リスニングには発音その他の大きな
問題が含まれるので、改めて検討することにし、ここではスピーキングに着目して考察してみ
たいと思います。又、ライティングもスピーキングと同様アウトプットに属し、両者は同一延長線
上にあるものとして、取り敢えず、先ずスピーキングに注目して考えて行くことにします。
①必要とされる単語の習熟度の大きな相違
リーディングの為には、文章の中に忘れ掛けている単語が出て来たとき、たとえ記憶が朧げ
であっても、文章の前後関係や経験などから、おおよその意味を頭の中から引き出して来るこ
とが出来さえすれば、文章を読み解くことが出来、それである程度は所期の目的を達成するこ
とが出来るものです。
ところが、スピーキングの為には、上記の例の様な曖昧な記憶のままの単語は、殆ど活用
出来ないといっても良いでしょう。スピーキングのときに活用出来るのは、その人にとって血と
なり肉となっていて、自分の身体の一部として同化している位に頭にしっかりと定着している語
句のみなのであるということに注目して頂きたいと思います。
②「単語レベル」と「文章レベル」・・・リーディングとスピーキングにおいて必要とされる資質
単語に関しては、リーディングの時に必要とされるのは、割り切って言うなら、英語を見て日
本語訳が浮かぶことであると言えるので、普通通りの単語の勉強でも十分に対応出来るもの
です。
と言うのも、リーディングの時には単語の意味が分かりさえすれば、私達は日本人である以
上、当然のことながら“日本語のネイティブスピーカー”である訳ですから、文章レベルでも何
とでも表現出来る筈です。
従って、何とか英単語の(単語レベルでの)意味が理解出来さえすれば、(巧拙の差はある
にしても)日本語の文章に訳すことは殆ど問題なく出来るということになり、一応は所期の目的
を果たせることになるからです。
それではスピーキングの時にも、日本語を英語に変換する為の単語力があればそれで良い
のかというと、そうは問屋が卸してくれません。というより、単語レベルで日本語を英語に変換
する練習を一所懸命積んで、たとえ単語レベルでの「日本語→英語」の変換がスムーズに出
来る様になったとしても、それだけでスムーズに英語を喋れる訳ではありません。
スピーキングにとって必要なのは、単なる単語レベルでの「日→英」変換力なんかじゃあり
ません。少なくとも、文法や構文等の知識をフル活用して、頭の中で文章を素早く作り上げる
能力が必要とされます。
更に経験と訓練を積むことによって、その回路がスムーズにシフト出来る様になり、次第にシ
ョートカットされて行って、短時間で相手との会話のキャッチボールに対応する様にして行かね
ばならないと言えます。
(否、本当は頭に浮かんだイメージの様なものを、文章レベルにおいても、日本語を介さずに
直接英語に変換出来ることが最終的な目標なのですが、いきなりそれを目指すのは初級者に
とっては、ハードルが高過ぎるので、ここでは触れませんが、今後順次述べて行きたいと思い
ます。)
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