英語学習方法『猿でも分かる英語・英会話』

英語学習方法 トレーニング別

リスニング

リスニングの特異性・難しさ

 英会話をリスニングとスピーキングとに分けて考えた場合、ネイティブ・スピーカーでない限
り、両者は全く異なる分野だと認識してかかった方が、挫折せずに済む可能性が高いと考え
られます。

 リスニングはリーディング同様、受動的なのに対し、スピーキングはライティング同様、能動
的であるということの他に、リスニングは他の要素にはない、極めて特異な性質を有している
からです。

(1)発音等の問題

 まず第一に発音等(発音、アクセント、イントネーション、リズム、等)の問題が大きく立ちはだ
かってきます。

 敵性言語とされていた戦時中は勿論(そこまで遡るか(笑))、戦後も昭和40年台位までは、
現在と比べたら視聴覚設備は充実しておらず、ましてやネイティブスピーカーから直接教えて
もらえるのは、極めて恵まれた環境の中で育った、ごく限られた人達のみだった訳です。

 その様な時代に育った人々は、かなり英語の得意な人でさえ、発音に関しては苦手意識を
持っている場合が多い様に感じられます。カタカナ英語に近い発音で習った世代の人達は、ひ
どい発音の“後遺症”が何時までも抜けずに苦しみ続けているというのが現状であると言えそ
うです。

(2)理解のスピード

 仮にリスニングの訓練によって聴き取り能力が向上し、ネイティブの人の話す英語(の音声)
が聴き取れる様になったとしても、その内容を理解するまでの時間がかかり過ぎると、内容を
考えている間に、次々と会話は先に行ってしまい、会話のスピードに追いついて行けないとい
う問題があります。

 リーディングとリスニングは共にインプットの領域に属しますが、リスニングがリーディングと
決定的に異なる点として、リスニングの場合には、話された言葉が次々と流れ去って行き、前
に戻ることが出来ない、即ち、話された言葉がそばから消えて行ってしまう為、リーディングの
時みたいに、後ろから前へ戻って訳して行く様なまねは出来ない、という点が注目されるべき
だと思います。

 この様に、話し言葉がドンドン消え去って行く性質のものである以上、聞き手としては、相手
の話す言葉を瞬時に理解して内容を把握して行かねばならず、聴き取った言葉を瞬間的に理
解し、一時的に短期記憶として頭の中に留めて置かないと、スムーズな会話が成り立たない
ことになってしまいます。

 従って、リスニングの場合には、リーディングの時より遥かに素早い瞬間的理解の能力を養
成する必要がある訳です。かなり高度な内容の英語の文章を読みこなせる人の中にも、リス
ニングの苦手な方がいらっしゃいますが、どちらかと言うと、難しい本をじっくり時間をかけて読
み解くといった読み方の人に多く見掛けられる様です。

 対策としては、易しいと感じられる位の本を大量に、ある程度のスピードを維持することを意
識的に行って行く必要があると思います。その意味からも、(リーディングの項でも触れました
通り)多読、速読の効用を今一度再認識して頂けたらと思います。

リスニングとスピーキングの大きなギャップ

(1)“本当の英語力”のある人にとっては英語を“喋る”のは簡単!?

 ここで、上記の1-(1)「発音等の問題」と関連して、かなり辛辣な言い方をさせてもらうこと
をお許し下さい。一人でも多くの方の英語力が向上することを心底願っているからに他ならず、
他意はありません。

 「英語は得意だけど(英語を)喋るのだけは苦手です。」と公言して憚らない人にたまに出会
うことがありますが、多くの場合それは嘘です!「嘘」とは聞き捨てならない台詞ですが、それ
では「“得意”といっても、その程度に過ぎません。」と言い換えても良いかも知れません。

勿論、中にはスピーキングの練習だけが後回しになっていて、一時的にその様な状態になっ
ている方もおられるかも知れませんが、極めて少数でしょうし、そういう方は少しの努力で短
期間の内にスピーキング能力も追い付いて行って、オールマイティになって行くものです。

 英語を喋ること、即ちスピーキングは英作文が得意な人であれば、最初こそ頭の中で文章
を組み立てながら話す為、反応速度が遅くなってスムーズな会話が成り立たない等というこ
ともあるかも知れません。

 しかし、経験を積んで行くにつれて、次第にその速度が速まって行くと共に、簡単な文章で
あれば、日本語を介すことなく英語を組み立てられる様になって行って、最終的には考えてい
ることを(英作文的に組み立てるのではなく)英語のまま表現が飛び出して来る様になるもの
です。

 従って、ここで本当の意味で「英語の得意な人」=「総合的な英語力のある人」と仮定した
場合に、英作文も、その「総合的な英語力」に含まれるものとしたら、「英語の得意な人」は英
作文も得意な場合が殆んどと言って良いでしょう。

 上記の様に、英作文が得意な人にとっては、喋ること自体、それ程難しいことではないと言え
るでしょうし、今現在スピードが追い付いて行けない為に流暢さに欠けるとしても、英語を苦手
としている人達より、遥かに速く喋ること、即ちスピーキング能力を、満足な水準にまで伸ばす
ことが可能であると言えるのです。

(2)聴き取ることの難しさ

 これに対して「(ペーパーの)英語は得意だけど、リスニングだけは苦手です。」というのは、
あり得る話です。リスニングには、発音、アクセント、イントネーション、スピード対応聴力、即
解力、リテンション等々、多くの非常に高いハードルが障害要素となって立ちはだかっている
からです。

 この為、ネイティブの大学生並みの英文読解力を有しながら、小学生達の話していることが
よく聴き取れない、という人も出て来てしまう訳です。このことをアメリカ人に話したら、すごく珍
しい現象であるかのように感じてびっくりしていましたが、実際にそういう人にあったことがあり
ますし、それに近い状態の人には何人も遭遇しています。上記の“リスニングの特異性”という
点からすると、日本人としては、それ程珍しいことではないと思っています。

 しかし、そのような人の場合、英語の実力そのものは備わっている訳ですから、唯一の弱点
であるリスニング力の向上に的を絞って集中的に訓練すれば、そのギャップを埋めて行くのは、
それ程大変なことではない筈です。

 事実、その様なタイプの人で、徹底的にリスニングの訓練を行って、短期間の内に弱点だっ
たリスニング力を向上させ、通訳として活躍できる程までに急速に上達した人もいらっしゃい
ます。

 むしろ、英語の実力がまだそこまでは到達されていない大多数の方々こそ、リ-ディング、
スピーキング、ライティングと平行して学んで行かねばならないので、多大の時間と労力を要
することになり、それ相当の覚悟をして掛からないと、ゴールへは中々到達し難いというのが
現実であると言えるでしょう。

(3)学習の順序

 ここで注意を要する点として、上記4つの要素を学んで行く順番や方法如何によっては、上
達の速度や習熟度が大きく変わってしまうということです。

 順番については、リスニングやリーディングといったインプットの分野は、スピーキングやライ
ティングといったアウトプットの分野よりも先行して学んで行くべきでしょう。

 アウトプットすべきものが余りない、即ち、インプットが未だ不十分な状態のまま、無理やりア
ウトプットの訓練をやったとしても、不自然な表現になってしまったり、又それを繰り返している
と、変な癖が付いてしまったりして、後からそれを矯正するのに大変な苦労をする等ということ
になりかねません。

 従って、先ずはリスニングやリーディングを先行して十分に習得して行き、ある程度の目処が
ついて来たら、その時々のレベルに見合ったスピーキングとライティングの練習を行って行くの
が効率的な方法だと思います。

「聞き流し型」と「注意集中型」

 CD等をBGMの様に、ただ聞き流しているだけで聞き取りの練習になっていると思っている人
が意外と多いことに驚かされます。思うに、「聞き流すだけ」という宣伝文句の影響を受けてい
るせいかと思わざるを得ない面もあります。しかし、聴き取りの能力を向上させたいと思うので
あれば、たとえ短い時間であっても、CD等の音源に意識を集中して耳を傾ける必要がありま
す。

 それでは、好きなことをやりながらCD等をBGMの様に聞き流すという方法は、全く無駄なの
かと言えば、耳を英語の発音、リズム、イントネーション等に慣れさせるという点では、それな
りの効果が若干認められるとされています。

 しかしながら、耳から入って来た英語の内容を直ちに理解出来る様になる為には、意識的
に、その音源に注意を集中して、聴き取ろうと心掛ける練習を少しずつでも続けないといけま
せん。

 もし毎日忙し過ぎて、リスニングの練習をする時間が全く取れないという方は、家事などの他
の用をしながらBGMの様に聞き流すだけの教材を活用するのも結構ですが、一日の内たとえ
短時間でも、音源に注意を集中して聴く時間を設けて下さい。

* 「ヒアリング(hearing)」と「リスニング(listening)」を余り区別しないで用いることも有りま
すが、ここでは一応通例の通り、「ヒアリング」が、意識して聞かなくても自然と耳に入って来る
場合を言うのに対して、「リスニング」は、音・声の対象に意識を集中して聴く場合を表すものと
して話を進めて行きたいと思います。「きく」を表す漢字も前者は「聞く」、後者は「聴く」の文字
を使って区別したいと思います。

リスニング能力向上の為のメソッド

 リスニング能力を向上させる為に開発された多くの方法の中で、特に効果的であると思うも
のを挙げてみました。更に、試行錯誤の末に考え付いた点にも触れてみました。

(1)ディクテーション

 ①リスニング力向上に結び付ける為の秘訣

 聴き取った英語を書き取って行くという、昔からあるオーソドックスな方法ですが、「そんな方
法なんか百も承知だし、何度もトライしたことがあるけど、余り効果はなかったよ。」とおっしゃ
る方に、「簡単に諦めないで下さい。」と申し上げたいところです。というのは、リスニング超苦
手人間がそれを克服した方法をヒントに考えた秘訣をお伝えしたいと思っているからです。

 ディクテーションでは、聴き取れなかった部分を空白にしたまま、次々と急いで書き取って行
かないと全然間に合わないことになりがちなので、聞き取れないところはブランクのままにして
おいて書き続けて行き、再度読み上げられる時にそのブランクを埋めて行くという方法が一般
的に見られる光景です。

 そして、何と言ったのか分からなかったり、スペルが分からなかったりした時に、分からなか
った部分を、聞こえた音に近いスペル或いは仮名で書き取っておいて、正解が分かった時点
で色を変えたペンで書いて行くというのが一般的の様です。

 正解が分かった時点で、(多くの場合すごく乱雑な文字で)書きなぐった紙をあなたならどう
してますか。大抵の人は、もう用済みと思って捨ててしまうことが多いのではないかと思いま
す。特に仮名書きの部分が幾つもあったりした場合、恥ずかしさも手伝ってか、早く処分してし
まいたいと思うのは良く分かります。

 しかし、その仮名書きの部分のある、書きなぐった紙こそが、実はあなたにとって貴重な財
産、掛け替えのない宝なのです。

 仮名書きの部分(もし、分からない部分にアルファベットのスペルを当てていた人は、その当
て字のアルファベットの部分)は、実はその部分の英語をあなたの耳で聴こえた通りに書き取
ったものであり、耳は嘘をつきませんから、聴こえた通りの正しい発音に近いものなんです。

 例えば、“リトル(little)”という語が「リル」とか「リロ」と言っている様に聴こえたという人は、
仕方無さそうに(笑)聴こえたままに仮名で綴ったりしていますが、実はそれで良いのです。後
で正解(この例ではlittle)が分かった時に、赤とか青のペンで正解を記入するのが普通と思い
ます。

 この聴こえた通りに書きなぐった、仮名も混じった文章と正解とは、次回以降の為の大切な
参考資料となります。出来ることなら、聴き取りにくい語句の一覧表を作っておくと、あなただ
けの、今後の為の素晴らしいオリジナルな発音参考書となります。

 聴き取りにくい部分や聴こえ方は人によって異なるので、他人の作ったものでは余り参考に
はならないかも知れません。あなた独自のものが、あなたにとって最良の参考資料になる訳
です。

 その人にとって聴き取りにくいところというのは、無限にある訳ではなく、ある程度パターン化
し得るものです。そこで、上記の「聴き取りにくい語句一覧表」を時々眺めていると、自分特有
の弱点なり、聴き取りにくい発音の法則性といった感じのものが見えて来るものです。

 そうすると、「あっ、これは子音の“t”が抜け落ちて聴こえるパターンだな」とか、「これは、子
音と後の音の母音が繋がって一つの音に聴こえるパターンだな」とかといった具合に分かって
来るものです。

 ②昔の達人からも裏づけされ得る発音ノートの効果

 嘗て、幕末にアメリカに渡ったジョン万次郎*が“What time is it now ?”を「ホッタイモイジルナ
(掘った芋いじるな!)」と、仮名で耳に聴こえた通りにメモって、会話でもそれで通じていたと
いう有名な逸話が残っています。

 元々漁師の家に育った彼は、アルファベットさえ習う前に、突然英語圏のアメリカで生活しな
ければならない状況に置かれてしまった訳ですが、彼の偉いところは、耳に聴こえた通りに、
忠実に仮名でメモって自分専用のノートを作成していた点です。

 今日の日本における外来語等や仮名を振った英会話本等に見られるカタカナ表記は、どち
らかと言うとアルファベットの表記に引きずられ易い面があると思います。それに対して、万次
郎のメモには、例えば、“サンデー(Sunday・日曜日)”は“さんれい”といった具合に、耳から
入った音声に忠実に書き表わされています。

 現代に生きる私達も彼を見習って、仮名のメモを含む自分専用のノートを作成しましょう。ジ
ョン万次郎のときと違って、一から全てを記入する必要は勿論なく、聴き取りにくかったところ
のみで構わないのですから、分量もそれほど多くなく、僅かな時間と労力で作れてしまいます。
しかし効果は抜群ですので是非お試し下さい。

*ジョン万次郎・・・本名:中浜万次郎。幕末・明治期の語学者。翻訳・測量・英語等の教授。遭
難し無人島に漂着していたところをアメリカの捕鯨船に救われ、アメリカで教育を受ける。後に
日米修好通商条約批准の為、勝海舟、福沢諭吉らに随行して咸臨丸で遣米使節として渡米。
明治維新後開成学校(東京帝国大学の前身)教授。

(2)シャドーイング

 元々は通訳志望の人達が同時通訳等の練習用に用いていた方法だったのが、近年、一般
の人達の間にも広がって来たこのシャドーイングは、御存知の通り、(CD等から聞こえて来る
)話し手の声の後を追って、自分も即、全く同じことを影(シャドー)の様に追いかけながら喋っ
て行くという方法です。

 「ネイティブスピーカーが喋っているのをただ聴き取るだけでも大変なのに、同時通訳じゃあ
るまいし、聴きながら喋るなんて至難の技だ。」と思われるでしょうが、練習を積むことによって、
誰でもある程度は習得出来るものですし、しかもこれは、あくまで練習方法の一つに過ぎず、
目的ではありませんので、仮に上手く出来なかったとしても、だからといって悲観する必要は
更々ありません。

 一般的に、英語学習上の各過程において、少し難しいと感じたときは無理をせずに、復習を
兼ねて基本的なところまでフィードバックして学習していくことをお勧めします。出来ればレベル
をワンランク下げて素早く総復習してから苦手分野に戻ってみると、以外に良く分かったりする
ことがあるものです。

 このシャドーイングに関しては、難しいと感じたら、ワンランクか場合によっては、思い切って
ツーランク位下げて行ってみて下さい。「かなり簡単、これなら楽勝だ」と感じられる程度のレ
ベルから始めるのが、シャドーイングで挫折しない為のコツと言えばコツと言えるかも知れま
せん。

 それでも尚、「シャドーイングは難しい、自分には向いていない」とお思いの方は、究極の方
法として、日本語のアナウンス(ニュースでも何でも構いません)を日本語でシャドーイングす
るという方法で感覚を摑んで頂きたいと思います。この方法で感覚が摑めて来たら、英語の
シャドーイングへと移って行って、慣れて来るにつれて、レベルも少しずつ上げて行けば良い
と思います。

 一見難しそうに見える練習方法であっても、簡単なところから少しずつステップ・アップして行
けば、誰でも比較的容易にこなして行けるものなんですね。

(3)戻り訳しない練習

 上でも述べた通り、リスニングではリ-ディングと異なり、前に戻って訳して行く様なことは出
来ません。従って、翻訳する必要があるとか、受験生が英文和訳の練習をしたりするとかの場
合は別ですが、一般的には、多読を意識して行う場合は勿論のこと、そうでなくても、リ-ディ
ングの時には、頭から読み下して、そのまま内容を理解して行く様に心掛けて下さい。

 即ち、もしリスニング能力の向上の為に、リ-ディングを活用したいと思うのであれば、頭か
ら内容を把握して行き、決して、前に戻って訳して行く所謂「戻り訳」にならない様に気を付け
て欲しいと思います。

 ところが、人間、長年の習慣というものは身体に染み付いていて、ちょっとやさっとでは変わ
りようがないものです。「絶対に戻り訳しないぞ」と思っていても、そう決意した最初の内こそ、
意識しているので何とかそれを維持出来たとしても、時間が経つと知らず知らずの内に、いつ
も通りの読み方に戻ってしまうものです。

 そこで「戻り訳」を防ぐ手段として、読書の時に、紙で読んだ部分を隠して行きながら、読み
進んで行く「スライディング・カード」方式(辞書には載ってない筈です、私の造語ですから。失
礼しました。)をお勧めします。

 紙は下が透けて見えないものなら何でも構わないのですが、ペラペラの薄い紙よりも、ある
程度腰のあるカードの方が使い易かったので、こんなネーミングをしてみました。しかし、材質
や大きさ等は、各人の好みで使い易いものを決めてもらえば良いでしょう。

 そんなことよりも、前に戻って読む「戻り訳」の癖から早く脱却することが一番大事なことなの
で、この様な方法でも利用して、とにかく頭から読んで即理解する習慣を身に付けて行って頂
きたいと思います。

現在地:トップページトレーニング別リスニング

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